「いまここ」と「ここから先」

私の趣味に将棋と総合格闘技(こちらは観る専門)があるのですが、最近、対照的な2つの勝負を観ることができました。

将棋では、羽生善治竜王が佐藤天彦名人に挑戦した第76期名人戦、総合格闘技では、UFCライトヘビー級王者のダニエル・コーミエが、階級を上げてヘビー級王者のスティーペ・ミオシッチに挑戦したUFC226です。

私のフェイバリットは羽生竜王とライトヘビー級王者コーミエで、羽生竜王は2勝4敗で敗退し、コーミエ選手は見事にKO勝ちを収めました。羽生さんは47歳、コーミエ選手は39歳で、ベテランが若い相手に立ち向かった結果でしたが、明暗がはっきり分かれました。

ただ、結果だけを見れば羽生さんは残念でコーミエ選手はよし!っといった調子ですが、内容を細かく見てみると実際は逆でした。

 

まず羽生さんの勝負内容ですが、事前の準備があるにせよ、相手と自分の相性や相手の得意な戦型などは気に留めず戦っています。これを迎え撃つ佐藤名人は、事前の入念な戦術研究で相対し、序盤から中盤にかけて優勢を築き、そのまま押し切る形で羽生さんを退けました。

羽生さんからしてみると、自分の思考を相手の事前研究(おそらく数カ月分の蓄積でしょう)にぶつける形で、どう考えても圧倒的不利です。ただ、自らの思考プロセスの成否を相手の膨大な事前研究を利用してチェックしているわけで、次の勝負に向けては非常に大きな収穫になっているでしょう。PDCAの「C」を対戦相手を使って実行している感覚でしょうか。しかも名人戦で。

 

これに対してコーミエ選手はヘビー級王者ミオシッチの戦い方を入念に研究し、そして自身の持つスキルと照らし合わせて、最適な戦い方を実行していました。軽く触れておくと、ミオシッチ選手はクリンチした際に顔面が無防備になりやすく、それを見抜いたコーミエ選手は、元々得意なクリンチからの打撃を用いて彼をKOしたのです。

ただし、これは二度と使えない戦い方です。相手がクリンチに付き合わなければそれまでですから、もし再び対戦すれば結果はまるで違ったものになるでしょう。

 

目の前の戦いと、目の前から将来までの戦い。自らが何を見据えているかで、戦い方がまるで違ったものになっています。当然事前の準備(というか磨いておくスキル)も違うものになるわけです。

「いまここ」で必要なスキル、「ここから先」までで必要なスキル。

私は「いまここ」に注意が偏りがちなのですが、それではあっという間に手持ちのスキルは陳腐化してしまうのでしょう。まだまだ若いし先はあると自負していますので、「ここから先」まで考えてスキルアップしなければならないと痛感したのでした。

(コーミエおめでとう!!!)

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